シンフォニックメタルのミックス #2 オーケストラのミックスとリバーブについて

  • 2021.02.23
  • DTM
シンフォニックメタルのミックス #2 オーケストラのミックスとリバーブについて

はい、前回の続きです。

シンフォニックメタルのミックス #1 ギターとベースの音作り&ドラムトリガーについて

今回は、シンフォニックメタルにおけるオーケストラパートのミックスとリバーブについて書いてみます。

参考曲はこちら(前回と同じです)↓

この記事では、こちらの曲で使った方法をメモという形にしていきます。

(21/11/16 追記)
動画作成しました。音の確認にお使いいただければ幸いです。


大前提

バンドのパートとオーケストラのパートが共存できるようなオーケストレーションが必要になります。

とりあえずコントラバスやチューバ、バストロンボーン等は使わない、もしくは低音に干渉しすぎないよう工夫して使うというのが楽です。

今回の曲だと、コントラバスとバストロンボーンは出番が全くありません。

チューバも冒頭(ベースが出てこない部分)のみの使用に留めています。

演奏会等を想定した制作ならこうはいかないのでしょうが、音源を作るという目的であればこういった妥協があってもいいのかなと思います。

もちろん、そういった低音を担当する楽器でどうしてもやりたいフレーズがあるのであれば、バンドパートの演奏を工夫するなどして対処可能です。ぜひ優先しましょう。

また、3度の音の扱いも注意したほうが良さそうです。

和音の明暗がはっきりしすぎると、メタルっぽい勢いが削がれてしまうような場面があります。

3度のキャラクターが邪魔だと感じたら、和声を気にしすぎず容赦なくomitしていきましょう。

逆に3度のキャラクターが欲しくなった場合は、高めに配置することで濁りを防止できます。

オーケストラのミックス

かなり理論っぽいところから入ってしまいましたが、ここから本題です。

使っている音源は、Native InstrumentsKOMPLETE ULTIMATEに収録されている「Symphony Essentials」一式です。

ホルンとトロンボーン、弦の各パート(Vn1,Vn2,Va,Vc)はアンサンブル音源を使い、その他(木管・トランペット・チューバ)はソロ音源を使っています。

これらの打ち込みをした後にパラで書き出して、ミックス用の別プロジェクトにそれらのオーディオを立ち上げてミックスしていきます。

プロジェクトを分けているのは、単純にCPUやメモリの負荷を軽減するためだったり、耳と気分をリフレッシュするためだったりします。

アンサンブル音源の扱い

最初に取り掛かるのは、アンサンブル音源のステレオ幅とパンの調整です。

この音源のアンサンブル音源……特にトロンボーンはすごく広いステレオで収録されています。

このステレオ幅を狭めて、左右に配置しやすくします

使うプラグインはFlux「StereoTool v3」です。

これをトロンボーンのトラックにインサートし、ステレオ幅を狭めつつパンを振ります。
TbStereo

※トロンボーンのステレオ設定

最初はホルンもステレオ幅を狭めようかと思ったのですが、この音源の定位が若干左に寄っていたんですよ。

今回の曲では元々ホルンを左に配置する予定だったので、ステレオ幅を狭めず、少しだけ左にパンニングするのみに留めています。
HnStereo
※ホルンのステレオ設定。幅は狭めず、左に少しだけパンニング。

また、アンサンブル音源はアンビが若干残っていることで無駄な低音を含みがちです。

オーケストラがメインの楽曲には必要なものかもしれませんが、シンフォニックメタルにおいては邪魔でしかありません。

ここはハイパスしておきましょう。
HnTbEQ

※左がトロンボーン、右がホルンのEQ

楽器のふくよかさに影響が出る寸前までカットします。

そして、トロンボーンのスタッカート等のアタックを強調するため、コンプで叩きます。
TbComp

※トロンボーンのコンプには1176のモデリングを使用。アタックを強調している。

ホルンのアンサンブルは、もう少し密度が欲しかったのでオプトコンプでまとめています。
HnComp

※ホルンのコンプにはLA-2Aのモデリングを使用。アンサンブルの密度を濃くするため。

これでアンサンブル音源の下処理は終わりです。

一度全体のボリュームバランスをとる

ここでバンドパートを含めた全体のボリュームバランスをラフにとってみます。

バンドパートのバランシング

ドラムはキックとスネアが同じくらいの音量に聴こえるように。

そしてクラッシュシンバルがスネアと同じくらいに聴こえるようにオーバーヘッドを足します。

ハイハットは、オーバーヘッドの中で曖昧な定位をはっきりさせるように少しだけ足します。

タムは大体スネアと同じくらいに。

ラフなバランシングではこの程度でOKです。

ギターは、キックとスネアに少し負けるか同じ音量に聴こえるように。

ベースはDI音のみを使い、ギターの7割~8割程度に聴こえるように。

バンドパートのラフなバランシングはこんな感じ。

オーケストラパートのバランシング

まずは、バンドパートに対してちょうど良いストリングスアレンジになるように弦のバランスをとります

今回は、弦のアンサンブル全てを合わせてギターと同じくらいに聴こえるように設定しています。

弦の音量が決まったら、弦のバスを基準にしてオーケストラパートをバランシングしていきます。

バンドパートは一旦ミュートしてしまいましょう。

金管は、吠えるようなシーンでは弦に勝つように、弦のフレーズを立たせたいシーンでは金管が少し負けるように設定します。

これらの強弱は、打ち込みの段階でしっかりと付けておきましょう。

金管の各楽器のバランスについては好みで大丈夫です。少しだけトロンボーンが大きめだと自然な気がします。

木管のバランスは、弦の8割くらいの音量で常に負けているようなイメージで。

木管が大きいと結構不自然に聴こえます。もちろん木管で聴かせたいフレーズがあるなら優先しましょう。

木管の各楽器のバランスは……これも好みで大丈夫。今回の場合は木管全てが同音量くらいに聴こえるように。気持ちファゴットが大きいくらいにしています。

打楽器は完全に好みでOK。ティンパニでもEpic的な効果音でも、自分が望んだ効果を出せるようなバランスにしましょう

これでラフにバランスがとれました。

オーケストラのリバーブ

この段階でリバーブも作ってボリュームバランスを整えやすくしましょう。

オーケストラのリバーブは、木管用金管用弦用ERと、それらをまとめるリバーブテイル4トラックを用意します。

ERにはWavesTrueVerbを、リバーブテイルには同じくWavesRenaissance Reverb(RVerb)を使います。

ルーティングは、木管金管の各バストラックからSendで各ERに送り、ERのOutを全て一つのテイルに送ってまとめるという感じです。
RevRout_LI

ERの設定

ERの設定は、TrueVerbでかなり簡単にやっています。先に画像を出しますね。
OcheRev_LI

左から木管金管の順に並べています。

Room Sizeはお好みで。あとはTime Responseのメーターが、実際のオーケストラの配置と同じような距離になるようにDistanceを設定します。

具体的に言うと、メーター上の水色の線をホールの後ろの壁(演奏者の背中側の壁)に、メーターの左端を指揮者の位置に見立て、黄色の線を楽器の位置として設定する感じです。
OcheRevIll_LI

※実際の設定のイメージ

この距離感の設定は大体でOK。自分の理想のルーム感になるなら、耳を使って設定するのが一番良いです。

これで設定完了です。Direct(Dry音)とReverb(Tale)は切っておいてくださいね

リバーブテイルの設定

3つのERのOutput先を1つのバストラックにまとめて、そこにリバーブテイルを設定します。

今回はRverbでリバーブタイムを1.8秒に設定しています。
RevTale

Early ref.をオフにすれば、あとの設定は好みでOKです。通常のセンドリバーブと違い、Wet/dryがERとテイルのバランスになっているので活用しましょう。

これでリバーブの設定は完了。全体になじませるためのEQは#3で書いていきます。

距離感の調整

リバーブとは別で、トラックごとにEQやコンプで距離感の微調整をしていきます。

今回はバンドパートが少し前に出ているイメージで作りたかったので、弦がギターより少し後ろにいくようにコンプします。
Stcomp

画像はバイオリン1のコンプ設定ですが、他の弦のトラックも同じようなアタック感になるように個々で設定します。

木管

弦の設定ができたら、それを基準に他のパートも設定していきます。

フルートの音源はもともとアタック感が弱めだったので、アタックの速いコンプは必要ないと判断しました。が、ロングトーンでの音量変化で距離感がフラフラする印象があったので、オプトコンプで少しだけ(最大で2dB程度のリダクションで)均しています。
Flcomp

※フルートのコンプ設定

オーボエの音源はアタックが強めで、フルートと同様ロングトーンでの音量変化が適正な距離感を表現するのに邪魔だったので、オプトコンプで音量変化を均してからFETコンプでアタック感の調整をしています。
Obcomp

※オーボエのコンプ設定。1段目には音量変化を均すためにオプトコンプを、2段目にはアタック感をコントロールするためにFETコンプを使っている。

クラリネットも、オーボエと同様の理由でオプト→FETの流れで使っています。
Clcomp

※クラリネットのコンプ設定。オーボエと同様、オプトとFETの流れで使用。

ファゴットは音源の特性も良い感じで、打ち込み段階で音量変化もしっかりコントロールできていたのでプラグインを使いませんでした。ボリューム調整のみです。

金管

ホルンとトロンボーンは先の設定でいい感じになっていたので、ここでの調整はなし。

トランペットとチューバも、リバーブとボリューム調整のみでいい感じになったのでここでの調整はなしです。

ということで、この段階での調整は全くありませんでした。バストラックで少しいじりますが、それは#3で紹介します。

とりあえずここまででOK

今の段階ではオーケストラの調整はここまでで完了です。

オーケストラだけの楽曲だとブリードの再現などもするのですが、シンフォニックメタルにおいては結構邪魔に感じたのでやっていません。


終わりに

#2はここまで。

#3では、バンドパートとオーケストラパートを馴染ませるための調整をしていきます。

ではでは~ノシ

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